「記帳を外部に任せたいが、いくらかかるのか相場が分からない」——経営者や個人事業主の多くが、依頼先を検討する段階でこの壁にぶつかります。記帳代行の費用は 依頼先・仕訳数・料金体系 で大きく変わるため、「月いくら」と一律に語れないのが実情です。

この記事では、記帳代行相場を依頼先別の比較表と1仕訳あたりの単価で具体的に示し、料金が変動する要因や費用を抑えるコツ、依頼時の注意点までを実務目線で整理します。

この記事の結論(先に要点)

  • 記帳代行業者:月100〜250仕訳で 6,000〜20,000円 が目安
  • 税理士事務所:法人 月40,000円〜 / 個人事業主 月30,000円〜
  • 1仕訳単価:50〜100円 が一般的(フリーランスはさらに安いがリスクも)
  • 価格だけでなく 税務対応・品質・継続性 で選ぶのが鉄則

記帳代行相場の全体像|依頼先別の料金早見表

記帳代行の費用感を最短で把握するには、まず「どこに頼むか」で相場が変わることを押さえるのが近道です。ここでは依頼先ごとの目安を一覧にし、その後で読み方を補足します。

依頼先別・料金相場の比較表

依頼先月額の目安1仕訳あたり税務申告向いている人
記帳代行業者6,000〜20,000円(100〜250仕訳)50〜80円不可(税理士在籍なら可)記帳だけ安く外注したい
税理士事務所法人40,000円〜/個人30,000円〜(顧問料込みの例も)50〜100円申告まで一括で任せたい
フリーランス/クラウドソーシング数千円〜10〜50円不可とにかく費用を抑えたい
行政書士数千円〜2万円程度50円前後不可記帳のみ士業に任せたい

上記はあくまで一般的な目安です。仕訳数・資料の状態・業務範囲によって実際の見積もりは変動します。

表の読み方と注意点

価格の安さだけを見ると「フリーランス一択」に見えますが、税務申告の可否や品質の安定性が依頼先で大きく異なります。記帳だけを切り出して安く頼むのか、申告まで含めて任せるのかで、最適な依頼先は変わります。

  • 記帳代行業者:記帳に特化。安いが、申告は別途税理士が必要なケースが多い
  • 税理士事務所:記帳+決算申告+税務相談まで一括。安心だが費用は高め
  • フリーランス:最安だが、継続性・守秘・品質にばらつきが出やすい

次章以降で、それぞれの相場の中身と料金が動く要因を掘り下げます。


そもそも記帳代行とは?経理代行との違い

費用を比較する前に、何を依頼できるサービスなのかを正しく理解しておくと、見積もりの「業務範囲」を読み違えずに済みます。

記帳代行で依頼できる業務

記帳代行とは、法人または個人事業主の記帳を請け負うアウトソーシングサービスです。領収書・請求書の控え・通帳のコピーなどを渡すと、仕訳をしたうえで会計ソフトに入力し、試算表や総勘定元帳といった帳簿を作成してくれます。

  • 領収書・請求書・通帳などの仕訳入力
  • 会計ソフトへの入力
  • 試算表・総勘定元帳など帳簿の作成

日々の入力に追われて本業に集中できない、簿記の知識がなく帳簿付けが不安、という事業者の負担を軽減するのが主な役割です。

記帳代行と経理代行の違い

よく混同されますが、記帳代行と経理代行は 対応範囲が異なる 別サービスです。費用差の理由はここにあります。

区分記帳代行経理代行
主な業務仕訳入力・帳簿作成記帳+請求・入金・支払管理など
費用感比較的安い高め(範囲が広い)
向く規模記帳だけ外注したい事業者経理担当の代替が必要な企業

ポイント: 見積もりを比べるときは「記帳代行」なのか「経理代行」なのか、含まれる業務範囲を必ず揃えて比較しましょう。範囲が違えば金額が違うのは当然です。

仕訳や勘定科目の基本を自社でも押さえておきたい場合は、コピー代の勘定科目システム利用料の勘定科目などの個別解説も参考にしてください。


記帳代行の料金体系|単価制・時間制・月額固定

「相場」を正しく読むには、料金が どういう仕組みで決まるか を知る必要があります。記帳代行の料金プランは大きく3タイプに分かれます。

主な料金プランの3タイプ

料金プラン課金の仕組み向いているケース
単価制(従量課金)1仕訳ごとに単価×件数取引量が月によって変動する
月額固定制一定の仕訳数まで定額毎月の取引量が安定している
時間制作業時間×時給業務範囲が読みにくい・変則的

最も一般的なのは 単価制と月額固定制 です。たとえば「月100仕訳まで5,000円、超過分は1仕訳○円」のように、定額枠+超過従量を組み合わせる業者も多くあります。

仕訳数別の月額目安

単価制を前提にすると、仕訳数が増えるほど月額が上がり、件数が多いほど1仕訳単価は下がる傾向があります。

月間仕訳数月額の目安
〜100仕訳5,000〜10,000円
100〜250仕訳6,000〜20,000円
250〜500仕訳15,000〜30,000円
500仕訳〜30,000円〜(要見積もり)

「1仕訳」とは、1件の取引を借方・貸方に振り分けた1行を指します。レシート1枚が必ず1仕訳とは限らず、内容によって複数仕訳に分かれる点に注意してください。

仕訳の数え方や帳簿の付け方を自分で確認したい場合は、エクセルで複式簿記をつける方法エクセル帳簿の作り方も合わせて確認すると理解が深まります。


記帳代行相場が変動する5つの要因|相場に含まれない費用も

同じ仕訳数でも見積もり額が違うのは、価格を左右する要因が複数あるためです。相場を鵜呑みにせず、自社の条件で見積もりを取ることが大切です。

料金を押し上げる主な要因

  1. 仕訳数・取引量:最も大きな変動要因。多いほど月額は上がる
  2. 資料の状態:領収書がバラバラ・未整理だと整理工数が加算される
  3. 消費税の課税事業者かどうか:課税事業者は処理が複雑化しやすい
  4. 会計ソフトの指定:特定ソフトへの入力指定があると対応可否で差が出る
  5. 依頼の頻度・スピード:月次の早期締めや急ぎ対応はオプション化されやすい

相場に含まれない「オプション費用」の例

月額の基本料金とは別に、以下のような費用が加算されるケースがあります。見積もり時に「どこまで込みか」を必ず確認しましょう。

  • 決算申告・年末調整の費用(税理士在籍の場合)
  • 給与計算・年末調整サポート
  • 請求・売掛金管理、支払・買掛金管理
  • クラウド会計の導入・運用サポート
  • 資料の郵送・スキャン代行などの実費

チェック: 「記帳代行の費用だけ」を比べると依頼先の差は小さく見えますが、決算申告までを含めると総額は大きく変わります。年間トータルで比較するのが失敗しないコツです。


記帳代行相場を税理士・業者・フリーランスで徹底比較

依頼先ごとに「いくらで・何を・どこまで」やってもらえるかが違います。価格・品質・対応範囲の3軸で比較します。

税理士事務所に依頼する場合

税理士事務所に記帳代行を依頼する相場は、法人で月40,000円程度から、個人事業主で月30,000円程度から が目安です(顧問契約に記帳代行を含める形が多い)。記帳に加えて決算申告・年末調整・税務相談まで一括で対応できるのが最大の強みです。

  • メリット:申告まで一貫対応、税務調査・法改正にも強い、安心感が高い
  • デメリット:費用は高め、繁忙期は対応が遅れることも

記帳代行業者・フリーランスに依頼する場合

記帳代行業者は 月100〜250仕訳で6,000〜20,000円 程度と、税理士より記帳単体は安く済みます。フリーランスやクラウドソーシングはさらに安く、1仕訳10〜50円・月数千円からも可能です。

  • メリット:費用を抑えやすい、記帳だけピンポイントで外注できる
  • デメリット:税務申告は別途必要、品質・継続性・守秘にばらつき

「安いフリーランス」を選ぶ前に: 担当者が突然対応できなくなる、入力ミスが多い、機密情報の管理が不安、といったリスクがあります。価格差の理由を理解したうえで判断しましょう。

税理士法違反にならないかという疑問

「税理士以外に記帳を頼むと税理士法違反では?」という不安をよく聞きますが、記帳(仕訳入力・帳簿作成)自体は税理士の独占業務ではありません。そのため業者やフリーランスが記帳を行っても違反にはなりません。

ただし、税務書類の作成・税務相談・税務申告の代理 は税理士の独占業務です。申告まで任せたい場合は税理士(または税理士在籍の業者)が必要になります。

なお、税理士に記帳代行を単体で依頼できるケースは多くありません。多くの税理士事務所では、記帳代行は 顧問契約を結んだうえで顧問料に含める 形が一般的で、月額の顧問報酬に加えて年1回の決算報酬が別途かかります。そのため「記帳代行相場」だけを見て安く感じても、顧問料・決算料を合わせた年間総額で比較しないと、税理士と記帳代行業者の本当のコスト差は見えてきません。記帳だけを安く外注したいのか、申告・税務相談までまとめて任せたいのかを先に決めておくと、依頼先選びで迷いにくくなります。


記帳代行サービスの選び方|価格以外の比較ポイント

相場を把握したら、次は「自社に合うか」で選びます。価格だけで判断すると、結局やり直しや乗り換えのコストがかかることがあります。

失敗しない3つのチェックポイント

  1. 税理士・経理のプロが監修(在籍)しているか:記帳は無資格でも可能なため、品質担保の体制があるかを確認する
  2. 自社の業務量・課題に合った提案をしてくれるか:仕訳数や会計ソフト、業務範囲に合わせた柔軟性があるか
  3. 担当者とのやり取りがスムーズか:資料の受け渡し方法、レスポンスの速さ、連絡手段を事前に確認

「社員雇用」と「記帳代行」の費用対効果比較

自社で経理担当を雇うか、外注するかで迷う場合は、コストを並べて比較すると判断しやすくなります。

比較項目社員雇用(パート含む)記帳代行の外注
月あたりコスト給与+社会保険料(数万〜数十万円)数千〜数万円
採用・教育の手間必要不要
属人化リスク退職で業務停止の恐れ業者側で体制を維持
繁忙期の柔軟性残業対応が必要仕訳数に応じて調整可

取引量が少ない・変動するうちは外注、安定して大量になり管理業務まで必要になったら内製、という切り替えが現実的です。

依頼するタイミングは、できるだけ早めが鉄則です。決算直前にまとめて依頼すると割増や対応不可になることもあるため、期首や月次の段階から相談しておきましょう。


記帳代行の依頼の流れ|導入から運用まで

実際に依頼を始めるときの一般的なステップを把握しておくと、見積もり依頼や資料準備がスムーズになります。

導入までの基本ステップ

  1. 現状の経理体制を把握する:記帳にかかる時間・コスト・課題を洗い出す
  2. 委託範囲を決める:記帳だけか、申告・給与計算まで含めるか
  3. 複数社から見積もりを取る:仕訳数・資料状態を伝え、条件を揃えて比較
  4. 契約・資料の受け渡し方法を決定:郵送/スキャン/クラウド共有など
  5. 運用開始・月次で帳簿を確認:試算表などの納品物をチェック

依頼前に準備しておくとよい資料

  • 領収書・レシート(できれば日付順に整理)
  • 請求書・納品書の控え
  • 銀行通帳のコピー、ネットバンキングの明細
  • クレジットカードの利用明細
  • 使用中(または希望)の会計ソフト情報

コツ: 資料が整理されているほど工数が減り、見積もりが安くなります。バラバラの状態だと「整理料」が加算されやすいので、渡す前のひと手間が費用節約につながります。

仕訳のうち判断に迷いやすい減価償却の仕訳などは、依頼先と方針をすり合わせておくと納品後の修正が減ります。


AIで記帳コストを抑える選択肢|AI仕訳の活用

ここまで外注の相場を見てきましたが、近年は AIで記帳作業そのものを自動化 し、外注費や入力工数を圧縮する選択肢も広がっています。中立的な比較情報として、ツール活用の方向性も紹介します。

AI-OCR×自動仕訳という第3の選択肢

AI仕訳」(運営:株式会社Saucer)は、領収書・レシート・クレジットカード明細・銀行通帳などをスキャン(AI-OCR)し、AIが仕訳データを自動生成するサービスです。生成データは マネーフォワード クラウド会計・freee会計・弥生会計 などにCSVで取り込めます。

  • 入力:領収書/レシート/カード明細/通帳(ScanSnapシリーズ対応)
  • 処理速度:1枚あたり数秒〜数十秒で仕訳データを生成
  • サポート:公式LINEで対応
  • 訴求:業界最安値(10円/枚)でのデータ化

外注の「丸投げ」と、自社入力の「全部手作業」の中間として、入力負担をAIに肩代わりさせつつ自社で帳簿をコントロールする という使い方ができます。記帳代行に出すほどではないが手入力は減らしたい、という事業者に向いた選択肢です。

料金・キャンペーンの最新情報は変動するため、詳細は公式サイトでご確認ください。まずは試したい場合は無料トライアルから始められます。

記帳代行・経理代行に関する他の解説は記帳代行・経理代行カテゴリにまとめています。あわせてご覧ください。


まとめ|記帳代行相場は「依頼先×仕訳数×範囲」で決まる

記帳代行相場は一律ではなく、依頼先・仕訳数・業務範囲の組み合わせで決まります。最後に要点を整理します。

  • 記帳代行業者:月100〜250仕訳で 6,000〜20,000円
  • 税理士事務所:法人 月40,000円〜 / 個人 月30,000円〜(申告まで一括)
  • 1仕訳単価:50〜100円(フリーランスは10〜50円とさらに安いがリスクあり)
  • 価格だけでなく、税務対応・品質・継続性・年間総額 で比較する
  • AIツールで入力工数を減らし、外注費を抑える選択肢もある

まずは自社の月間仕訳数と「記帳だけか/申告まで含めるか」を整理し、複数社から条件を揃えて見積もりを取ることが、相場どおり(あるいはそれ以下)で賢く依頼する第一歩です。


よくある質問(FAQ)

Q. 記帳代行の相場はいくらですか? A. 記帳代行業者なら月100〜250仕訳で6,000〜20,000円、税理士事務所なら法人月40,000円・個人月30,000円程度からが目安です。仕訳数や業務範囲で変動します。

Q. 記帳代行の相場は1仕訳いくらですか? A. 単価制で1仕訳50〜100円程度が一般的です。仕訳数が多いほど単価は下がる傾向があります。

Q. 記帳代行のフリーランスの相場は? A. 1仕訳10〜50円・月数千円からと最安水準ですが、品質・継続性・守秘にばらつきがあるため価格だけで選ばないことが大切です。

Q. 行政書士に記帳代行を依頼するといくらくらいかかりますか? A. 記帳代行業者と同程度で、仕訳数に応じ月数千円〜2万円程度が目安です。ただし税務申告は税理士の独占業務のため、申告まで任せたい場合は税理士を検討します。

Q. 記帳代行を税理士以外に頼むと税理士法違反になりますか? A. 記帳自体は税理士の独占業務ではないため違反になりません。ただし税務書類作成・税務相談・申告代理は税理士の独占業務です。

Q. 記帳代行と経理代行は何が違いますか? A. 記帳代行は仕訳入力・帳簿作成に限定、経理代行は請求・入金・支払管理まで含む業務全般の代行です。範囲が広い分、経理代行のほうが高額になります。