代行記帳(記帳代行)とは?費用相場・選び方・違法リスクまで徹底解説

「経理の入力作業に追われて本業に集中できない」「経理担当者が一人しかおらず属人化が不安」——こうした課題の解決策として注目されるのが**代行記帳(記帳代行)**です。

ただし、依頼先によって費用も品質も大きく変わり、選び方を誤ると逆に手間が増えることもあります。さらに「税理士法違反にならないか」という不安もつきまといます。

この記事では、経営者・オーナーが判断するために必要な情報を、費用相場の早見表・依頼先の比較・違法リスク・選び方6ポイントまで網羅して解説します。


代行記帳(記帳代行)とは?基本と依頼できる業務範囲

まずは「代行記帳とは何か」「どこまで任せられるのか」を整理します。混同されやすい経理代行との違いもここで明確にします。

記帳代行の定義

記帳とは、事業で発生した取引内容を帳簿に記録することです。記帳代行とは、この記帳業務を税理士や専門業者など外部に委託するサービスを指し、代行記帳とも呼ばれます。領収書・請求書・通帳などの資料を提出すれば、仕訳入力から帳簿作成までを記帳代行サービスが請け負ってくれます。

正確な記帳は決算・確定申告・税務申告の土台であり、避けて通れない業務です。一方で細かな数字を扱う煩雑な作業のため、担当者の負担になりやすいのが実情です。記帳代行を利用すれば、簿記の知識が十分でなくても正確な月次試算表や総勘定元帳を遅延なく整えられます。

ポイント:記帳代行は「やらなければならないが、付加価値を生みにくい作業」を外部に切り出す手段。経営判断や本業にリソースを振り向けたい企業に向いています。

依頼できる業務範囲

記帳代行に依頼できる業務は、主に以下のとおりです。

  • 会計ソフトへの入力:領収書・請求書・通帳をもとに正しい勘定科目で仕訳・入力
  • 帳簿作成:仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳などの作成
  • 月次試算表の作成:月ごとの財務状況がわかる資料の整備
  • 領収書・請求書の整理/ファイリング:書類の分類・保管(オプションのことが多い)

「どこまで頼むか」は会社ごとに調整できます。入力だけ任せて整理は自社で行う、といった部分依頼も可能です。

記帳代行と経理代行の違い

似た言葉に「経理代行」があります。経理代行との違いを押さえておくと依頼範囲を決めやすく、記帳代行は経理代行に含まれる業務の一部と理解すると整理しやすいです。

区分記帳代行経理代行
対象業務仕訳入力・帳簿作成記帳+請求・支払・入金管理・給与計算など
業務範囲一部業務(記帳中心)包括的(バックオフィス全般)
料金比較的安価範囲により高額になりやすい
向く企業入力負担だけ減らしたい経理機能ごと外注したい

請求書発行や振込・入金管理まで任せたいなら経理代行、帳簿作成が中心なら記帳代行が適しています。

関連する勘定科目の処理に迷ったときは、コピー代の勘定科目システム利用料の勘定科目の記事も参考になります。


記帳業務は2014年から義務化|外注が増える背景

記帳代行の需要が高まっている背景には、制度面の変化と人材面の課題があります。

すべての白色申告者に記帳義務

かつて記帳義務は、白色申告者のうち所得が一定額(前々年または前年で300万円超)を超える事業者に限られていました。

しかし2014年(平成26年)の税制改正以降、すべての白色申告者に記帳と帳簿の保存が義務付けられました(出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」)。事業規模を問わず、正確な記帳が求められるようになっています。

インボイス制度・電子帳簿保存法で負担増

近年は法対応の負担も増えています。

インボイス制度と電子帳簿保存法はいずれも記帳実務に直結するため、自社対応に不安があるほど記帳代行や自動化の検討が進んでいます。

これらにより「自社だけで正確に処理しきれるか」という不安から、外部委託や自動化を検討する企業が増えています。電帳法・インボイス関連は電帳法・インボイスのカテゴリでも整理しています。

経理人材の不足と属人化リスク

中小企業では経理担当者が1名のみという体制が珍しくありません。

  • 休暇・退職時に業務が止まる属人化リスク
  • 月末月初に作業が集中し、ミスや残業が発生
  • 単純な入力作業が経理全体のボトルネックに

こうした課題に対し、記帳代行は「人を増やさずに経理を回す」現実的な選択肢になっています。


代行記帳(記帳代行)のメリット・デメリット

外注には明確なメリットがある一方、注意すべきデメリットもあります。導入前に両面を把握しておきましょう。ここでは記帳代行を利用するメリット記帳代行を利用するデメリットの両方を整理します。

記帳代行を利用するメリット

  • 経理担当者の負担を減らせる:入力・仕訳・整理の手間を外部に移せる
  • コストダウンにつながる場合がある:採用・教育コストや人件費と比較して安く済むケースがある
  • 作業が迅速かつ正確:専門知識を持つ担当者が処理するためミスが減りやすい
  • 税理士在籍の業者なら税務申告まで任せられる:記帳から申告まで一気通貫
  • 繁忙期や急な欠員に備えられる:担当者の急な退職などの有事に強い

記帳代行を利用するデメリット

  • 社内にノウハウが蓄積しにくい:経理スキルが育たず外注依存になりやすい
  • 資料のやり取りに手間が発生:領収書・通帳などの受け渡しフローが必要
  • リアルタイムで数字を把握しづらい:月次でまとめて処理する場合、即時性に欠ける
  • 情報漏洩リスク:取引・財務データを外部に渡すためセキュリティ確認が必須

なお、税理士が在籍していない業者では税務申告に対応できず、価格設定がわかりにくい場合や、まれに無資格のまま税務まで請け負う違法な業者が混じっていることもある点には注意が必要です。

向いている企業・向かない企業

向いている企業慎重に検討すべき企業
経理が属人化している経理ノウハウを社内に貯めたい
入力作業に追われている日次でリアルタイムに数字を見たい
繁忙期だけ負荷が高い取引量が極端に少なくコストに見合わない

「自社の経理のどこに工数がかかっているか」を整理してから判断するのが失敗しないコツです。


記帳代行の依頼先4種類と特徴

ひとくちに記帳代行といっても、依頼先はいくつかに分かれます。それぞれ費用感・対応範囲・品質の傾向が異なります。

依頼先の比較

依頼先費用感税務申告特徴
税理士・税理士事務所やや高め対応可記帳〜申告を一括。最新税法に対応
記帳代行専門業者安め原則不可(提携除く)大量処理・低コストが得意
クラウドソーシング/フリーランス最安〜変動不可小規模向け。品質にばらつき
クラウド会計+AIツール(内製)月額固定中心自社or顧問自動化で内製化。ノウハウが残る

税理士・税理士事務所/専門業者

税理士事務所は経理・税務のプロで、記帳から税務申告まで任せられるのが強みです。顧問契約とセットになることが多く、その分費用はやや高めになります。

記帳代行専門業者は記帳に特化し、比較的低コスト・柔軟な契約が特徴です。ただし税理士が在籍しない業者では税務申告は依頼できません。

フリーランス・クラウドソーシング

ココナラやクラウドワークスなどで個人に依頼する方法もあります。

  • メリット:費用を抑えやすい、小規模なら十分対応可能
  • 注意点:品質・継続性・情報管理にばらつきがあり、契約前の見極めが重要

「記帳 代行 フリーランス」「記帳代行 ココナラ」で探す場合は、実績・レビュー・秘密保持の取り決めを必ず確認しましょう。

クラウド会計+AIで内製化する選択肢

近年は、外注せずにAI-OCRやクラウド会計で記帳作業そのものを自動化するアプローチも広がっています。ノウハウが社内に残り、リアルタイムで数字を把握できるのが利点です。自動化の前提となる帳簿づくりはエクセル複式簿記エクセル帳簿の記事も参考にしてください。


記帳代行の費用相場|料金体系と単価の目安

最も気になる費用について、記帳代行の費用相場を料金体系と単価の両面から具体的に整理します。

料金体系は主に3パターン

  1. 仕訳数ベース:仕訳件数に応じて月額が変動(上限を設けて段階課金)
  2. 従量制(単価制):1仕訳あたりの単価 × 総仕訳数
  3. 顧問契約込み:税務顧問料に記帳代行が含まれる形式

仕訳数・依頼先別の費用目安

形態料金体系目安
税理士事務所(顧問込み)月額顧問料月20,000〜50,000円程度
記帳代行業者(仕訳数課金)月額月100仕訳で10,000〜20,000円前後
記帳代行業者(従量制)1仕訳単価1仕訳あたり44〜100円程度
スポット・決算のみ都度見積内容により変動

※相場は公開されている各社料金・業界一般の目安に基づく概算です。実際の費用は仕訳量や依頼範囲で変わります。

費用が変動する要因と抑えるコツ

実際の費用は、次のような前工程の状況に大きく左右されます。

  • 紙・PDF・メール添付など資料がバラバラ
  • 月末にまとめて資料が提出される
  • 書類の不備確認に時間がかかる

コスト削減のカギ:資料の電子化と提出ルールの整備。資料がきれいに揃うほど作業単価は下がりやすく、内製・外注どちらでも効率が上がります。


知っておくべき「税理士法違反」のリスクと違法性

「記帳代行は違法では?」という不安はよく聞かれます。結論から言えば記帳代行そのものは合法ですが、超えてはいけない一線があります。

記帳・仕訳入力は資格不要

会計ソフトへの入力や帳簿作成といった記帳業務は、特別な資格がなくても行えます。そのため記帳代行業者やフリーランスがサービスを提供できます。「記帳代行 資格なし」でも記帳の範囲なら問題ありません。

税理士の独占業務(違法になるライン)

一方で、以下は税理士法で定められた税理士の独占業務です。無資格者が行うと税理士法違反になります。

  • 税務代理(申告・申請の代理)
  • 税務書類の作成(申告書などの作成)
  • 税務相談(具体的な税額計算・節税の相談対応)

つまり、記帳までは合法・税務申告や税務相談は税理士のみという線引きです。行政書士であっても、税務書類の作成・税務相談はできません(「記帳代行 行政書士」で検討する際の注意点)。

受託側はどれくらい稼げる?

受託する側として記帳代行を始めた場合の収益感も触れておきます。

  • 単価:1仕訳数十円〜、月額契約で1社1〜3万円程度が一般的
  • 売上=受注社数 × 1社あたりの単価

無資格でも記帳の範囲なら開業できますが、税務に踏み込むと違法になります。効率化ツールで処理量を増やせるかが収益を左右します。


失敗しない!代行記帳サービスを選ぶ6つのポイント

依頼先は数多くあります。後悔しないために、契約前に次の6点を確認しましょう。

確認すべきチェックポイント

  1. 税理士が在籍しているか:将来的に税務申告・確定申告まで任せたいなら、税理士が在籍しているか(または提携しているか)は必須の確認事項
  2. 料金体系が明確か:仕訳数・単価・追加料金の条件を事前に確認
  3. 対応範囲と納期:月次試算表の有無、納品スピード
  4. セキュリティ体制:秘密保持契約(NDA)・データ管理方法
  5. 資料のやり取り方法:紙のみか、クラウド・データ提出に対応しているか
  6. サポート・コミュニケーション:質問への対応、担当の継続性

迷ったら:上記をすべて満たす業者であれば、安心して任せやすいといえます。特に「料金の明確さ」と「セキュリティ」は妥協しないことをおすすめします。

契約前に整理しておくこと

選定の前に、自社のどの業務を・どこまで外注するかを言語化しておきましょう。依頼範囲が曖昧だと見積もりがブレ、想定外の追加費用につながります。

導入までの一般的な流れ

  1. 課題と依頼範囲の整理
  2. 複数社へ問い合わせ・見積もり比較
  3. 契約・NDA締結
  4. 資料の受け渡しフロー構築
  5. 試験運用→本稼働

「依頼する」より「自動化する」という選択肢|AI仕訳の活用

ここまで外注を前提に解説してきましたが、近年は記帳作業そのものをAIで自動化するアプローチも有力です。前述のとおり、記帳代行の効率は「資料の整備状況」という前工程に大きく左右されるためです。

前工程の電子化が効率化のカギ

紙やPDFが混在した資料を人が手入力する限り、外注でもコストはかさみます。逆に、領収書やレシートを最初にデータ化してしまえば、内製でも外注でも作業がスムーズになります。

AI仕訳でできること

AI仕訳(運営:株式会社Saucer)は、領収書・レシート・クレジットカード明細・銀行通帳などをAI-OCRで読み取り、AIが仕訳データを自動生成するサービスです。

  • 入力:領収書/レシート/カード明細/通帳など
  • 連携:マネーフォワード クラウド会計・freee会計・弥生会計へCSVで取込可能(その他CSVインポート対応ソフトも順次拡大)
  • 特徴:業界最安級の10円/枚でのデータ化を訴求、レシート・領収書を即日データ化
  • サポート:公式LINE対応

税理士事務所の記帳代行効率化にも、一般企業の経理の自動化にも活用できます。

こんな企業に:記帳の入力負担を根本から減らしたい/外注コストを見直したい/経理ノウハウは社内に残したい——という場合は、自動化を選択肢に加える価値があります。

料金やキャンペーンの最新情報は変動するため、詳細は公式サイトをご確認ください。まずは試してみたい方は、**無料トライアル**から始められます。製品の詳細はAI仕訳(製品理解)カテゴリもご覧ください。


まとめ:代行記帳は「範囲の見極め」と「前工程の整備」で決まる

代行記帳(記帳代行)は、経理負担の軽減・コスト削減・属人化の解消に有効な選択肢です。一方で、依頼先選びを誤ると手間やコストがかえって増えることもあります。

押さえるべき要点は次のとおりです。

  • 記帳代行は経理代行の一部。依頼範囲を明確にする
  • 費用相場は月2〜5万円/1仕訳44〜100円などが目安。前工程の整備で下げられる
  • 記帳は合法だが、税務申告・税務相談は税理士の独占業務
  • 選定では税理士在籍・料金の明確さ・セキュリティを重視
  • 「外注」だけでなくAIによる自動化も検討する価値がある

まずは自社の経理のボトルネックを整理し、外注で解決する部分・仕組みで改善する部分を切り分けることが、最適な一歩につながります。記帳代行・経理代行の他の記事は記帳代行・経理代行カテゴリからご覧いただけます。


よくある質問(FAQ)

代行記帳とは何ですか?

代行記帳(記帳代行)とは、日々の取引を会計帳簿に記録する記帳業務を、税理士や専門業者など外部に委託するサービスです。領収書・請求書・通帳などをもとに、勘定科目の仕訳・会計ソフトへの入力・帳簿作成を代行してもらえます。

記帳代行は違法ですか?

記帳・仕訳入力そのものは資格不要で、違法ではありません。ただし税務書類の作成・税務相談・税務申告の代理は税理士の独占業務で、無資格者がこれらを行うと税理士法違反になります。記帳の範囲に留まる限り合法です。

記帳代行でどれくらい稼げますか?

受託側として開業した場合、1仕訳あたり数十円〜、月額契約で1社1〜3万円程度が一般的な単価です。受注社数と1社あたりの仕訳量で売上が決まるため、効率化ツールでさばける処理量を増やすことが収益のカギになります。

記帳代行はいくらくらいしますか?

税理士事務所の顧問料込みで月2〜5万円程度、記帳代行業者では月100仕訳で1〜2万円前後、従量制で1仕訳44〜100円程度が一般的な目安です。資料の整理状況や紙資料の多さで変動します。

記帳代行と経理代行の違いは何ですか?

記帳代行は会計ソフトへの入力・帳簿作成が中心、経理代行はそれに加えて請求・支払・入金管理・給与計算などバックオフィス全般を含みます。記帳代行は経理代行に含まれる業務の一部です。

個人事業主でも記帳代行を依頼できますか?

依頼できます。2014年以降は白色申告者を含むすべての事業者に記帳と帳簿保存が義務付けられており、需要は増えています。仕訳数が少なければ従量制・スポット依頼やクラウド会計の活用も選択肢になります。